支援費用の支払時期と補助金の入金

補助金は事業を終えた後に入るのが通常で、支援者の仕事は申請の前に集中します。この時間差と、お金の通り道を、契約で整えます。

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入金口座を預ける、通帳を預ける、報酬を天引きする。便利に見える三つは、補助金の使い方とお金の責任に直結します。

このページの要点

  • 報酬の払い時は、着手時・採択時・入金後のどれに置くかを決め、請求書の発行時期と支払期日を日数と営業日で書く。後払いの補助金では、申請者の資金繰りを考慮する。
  • 補助金は申請者の口座で受け取るのが原則の形。支援者の代理受領は、制度の要綱で認められるかを確かめ、受任者の引渡し義務(民法646条1項)を踏まえて書く。通帳の預かりと天引きは慎重に扱う。
  • 支援費用が補助対象経費に入るかは制度ごとに違う。算入を保証しないこと、算入されなくても報酬の支払義務は変わらないことを条文にする。
  • 実費は、範囲の例示、事前承認、領収書の添付、請求の時期を決める。補助金相当額を預かる覚書は、預り金の名称の統一、受領者、不交付の判明時点、返還の期限と方法を書く。

結論:報酬の払い時は補助金の入金と結びつけるかを先に決め、お金の通り道に支援者を入れない

補助金の申請支援には、お金の流れに特有のねじれがあります。補助金は、事業を行って経費を支払った後に、その補てんとして支払われる仕組みが広く見られます。つまり、申請者はまず自己資金で事業を進め、補助金が入るのはずっと後になります。一方、支援者の仕事は、申請の前に集中します。仕事をするのは補助金が入る前、お金が入るのは補助金が入った後。この時間差を、報酬の払い時とどう組み合わせるかが、このページの出発点です。

結論は三つです。第一に、報酬の払い時を「申請者の資金の都合に合わせるか(入金後)」「支援者の作業に合わせるか(着手時・納品時)」の二つの軸で選び、その選択の結果を双方が理解して契約すること。第二に、補助金が申請者の口座に入るという前提を崩さず、支援者が補助金を受け取ったり、通帳を預かったり、報酬を差し引いたりする仕組みは、制度の要綱で認められているかを確かめたうえで、例外として慎重に扱うこと。第三に、支援費用が補助対象の経費に入るかどうかは制度ごとに違うため、「入っても入らなくても、報酬は支払う」と整理しておくことです。報酬の型そのものは報酬の決め方のページ、成功報酬がいつ生まれるかは成功報酬の発生のページで扱いました。このページは、報酬の「支払の時期と通り道」に絞ります。

後払いの補助金と、報酬の払い時の組み合わせ

補助金の流れの中で、お金が動く場面を並べると、次のようになります。なお、制度によっては、事業の途中で概算で補助金が支払われる仕組み(概算払)もあり、本ページの流れは一般的な例にすぎません。対象とする制度の公募要領・交付要綱で、支払の方法と時期を確認する必要があります。

補助金のお金の流れと、報酬の払い時を置ける場所

  1. 契約・着手支援契約を結び、支援者が作業に着手する。申請者は着手金を払うことがある。契約で決める着手金の有無と額の決め方。着手金の性格は不採択のときの契約のページ。
  2. 申請・採択・交付決定申請書類を提出し、審査を経て、交付の決定を受ける。契約で決める成功報酬の発生をここに置くか。置くなら、支払期日を入金の前にするか後にするか。
  3. 事業の実施・経費の支払申請者が自己資金で事業を進め、取引先などに経費を支払う。契約で決める支援者が実費を立て替えるか、申請者が直接支払うか。事前承認の手続。
  4. 実績報告・額の確定事業の成果を報告し、交付すべき額が確定する。契約で決める実績報告の支援を契約に含めるか。含めるなら、報酬の扱い。
  5. 補助金の入金確定した額が、申請者の口座に支払われる。契約で決める入金後の報酬の支払期日(○営業日以内)。入金の確認方法。報酬の差し引きをするかしないか。

報酬の払い時は、大きく三つの置き方があります。それぞれが、申請者と支援者の資金の負担をどう分けるのかが違います。

報酬の払い時の置き方と、資金の負担

払い時支援者の負担申請者の負担向く場面
着手時・申請前資金の負担は軽い。ただし、不採択のときに返還を求められる。補助金が出るかどうかが分からない段階で、費用を負担する。作業量が大きく、支援者が前払いを必要とする場合。返還の条件を同時に書く。
採択・交付決定時採択の知らせを受けて請求できるため、回収が比較的早い。補助金が入る前に報酬を払う。事業の資金も必要になる時期と重なる。資金に余裕のある申請者の場合。辞退や減額のときの戻しを書く。
補助金の入金後回収が遅く、入金の遅れの影響を受ける。補助金が入った後に払うので、資金繰りの負担が最も軽い。申請者の資金に余裕がない場合。支援者は着手金や分割で補う設計を併用する。

民法648条2項は、受任者が報酬を請求できるのは、原則として委任事務を履行した後であると定めています。また、成果に対して報酬を支払う約束をした場合は、その成果の引渡しを要するときは引渡しと同時に報酬を支払うことになります(民法648条の2第1項)。これらは任意規定であり、当事者の合意で払い時を動かせます。ただし、どの払い時を選んでも、「いつ請求書を出し、何日以内に払うか」「入金の遅れがあったときに請求を待つか」までを書かなければ、運用が止まります。

支援者が補助金を受け取る・通帳を預かる・報酬を天引きする場合の危うさ

報酬を滞りなく受け取りたい支援者から、「補助金の入金先を自分の口座にしてほしい」「通帳を預かりたい」「入金されたら報酬を差し引いて残りを渡す」といった申し出が出ることがあります。申請者の側にも、手続を一任したいという気持ちから、これに応じたくなる場面があります。しかし、この三つは、お金の通り道に支援者を入れるという点で共通の危うさがあります。

補助金のお金の通り道(原則の形)

所管機関・事務局

補助金を支払う側

  • 確定した額を支払う
  • 振込先は、制度の要綱・交付規則で定められる

申請者(補助事業者)

補助金を受け取る側

  • 自己名義の口座で受け取るのが通常
  • 受け取った後、契約に従って報酬を支払う

支援者

報酬を受け取る側

  • 申請者に請求書を発行する
  • 補助金そのものは受け取らない

国の補助金では、補助事業等を行う者が補助事業者等(補助金適正化法2条3項)であり、補助金の交付の決定や額の確定の通知は、この者に対して行われます。自治体や民間団体の制度では、振込先を申請者名義の口座に限るかなど、受取の方法が要綱で定められているかを確認する必要があります。

一つずつ見ていきます。

  • 入金先を支援者の口座にする(代理受領):代理人が権限内で本人のためにすることを示してした意思表示は本人に効力が生じる(民法99条1項)という代理の仕組みを使い、支援者が申請者に代わって受領する形が考えられます。ただし、そもそも制度が代理受領を認めているか、振込先に制限がないかを、要綱で確認する必要があります。制度が認めていない場合、契約書に書いても通用しません。認められる場合でも、受任者が委任事務の処理にあたって受け取った金銭を委任者に引き渡す義務(民法646条1項)があり、受領した補助金は、報酬の部分を除いて遅滞なく申請者に引き渡さなければなりません。
  • 通帳を預かる:口座の名義が申請者であっても、通帳とキャッシュカード、インターネットバンキングのIDを預かれば、事実上、お金を動かせる状態になります。誤送金や不正な引き出し、書類紛失の際の責任が不明確になります。口座を預かる形は、申請者が自ら管理するほうが、双方にとって安全です。
  • 入金から報酬を天引きする:支援者が申請者の口座の補助金から報酬を差し引く形は、一見、便利です。しかし、補助金は事業の経費の補てんとして交付されるものであり、概算払や前払で、事業の経費に充てる前の補助金から報酬を差し引く場合は、補助金の他の用途への使用(補助金適正化法11条。違反には30条の罰則)との関係が問題になりえます。天引きを使う前に、交付要綱で補助金の使途の定めと、報酬が対象経費に入るかを確認します。

なお、「天引き」の考え方を民法の言葉で表現すると、相殺(民法505条)です。互いに同種の債務を負担し、双方が弁済期にあるとき、対当額で債務を免れる仕組みです。支援者が申請者に引き渡すべき金銭と、申請者が支援者に払うべき報酬とを、相殺の合意で処理することは、契約自由の範囲で可能です。ただ、その前提として、支援者が補助金を受領できる立場にあることが必要です。受領できない制度で、報酬の精算のためだけに、通帳を預かるような運用は、契約書で書いても適切とはいえません。

支援費用が補助対象経費に入るか:制度ごとに違うことを前提に整理する

申請の支援を受けた費用は、補助の対象となる経費に入るのでしょうか。この問いに、一律の答えはありません。支援者への報酬を対象経費とする制度もあれば、対象外とする制度もあります。対象になる場合でも、金額の上限や、成功報酬は対象外といった条件が付くことがあります。こうした取扱いは制度ごとの公募要領・交付要綱に定められており、国の補助金では、補助金適正化法7条1項2号が、交付決定に付す条件として、補助事業等を行うため締結する契約に関する事項や、経費の使用方法に関する事項を挙げていることが、その根拠の一つです。

契約書の側では、この不確定な点を、次のように整理します。まず、支援費用が対象経費に入るかどうかは、申請者の側が公募要領で確認する事項であり、支援者はその判断を保証しない、と書きます。そのうえで、対象経費に入る場合も、入らない場合も、支援契約の報酬の支払義務は変わらない、と明記します。これを書かないと、「補助金の対象になると思っていた」「対象外だったから払えない」という主張が後から出ます。

第○条対象経費への算入

  1. 乙は、本契約に基づく報酬及び実費が、対象制度における補助対象経費に算入されるか否かについて、保証しない。
  2. 甲は、前項の事項を、対象制度の公募要領及び交付要綱により自ら確認する。
  3. 本契約に基づく報酬及び実費が補助対象経費に算入されない、又は算入される額が報酬の額に満たないことは、甲の支払義務を免れさせ、又は減額させるものではない。

書き方の例(一般的な例)。支援者が、算入の可否を調べて助言する約束をする場合は、助言の範囲を業務範囲の条項に書き、保証とは区別します。

確認の問い支援費用の取扱いを決めるときの問い

  1. 報酬は、申請者の自己資金で払うのか、補助金で補てんされる経費に含める想定か。

    想定が食い違うと、補助金が出ない場合に支払を拒む主張が出る。

  2. 成功報酬は、補助金の入金の前に払うのか、後に払うのか。

    資金繰りの負担が、どちらの当事者に寄るかが決まる。

  3. 入金先は、申請者の口座のままか。支援者が受け取る場合、制度はそれを認めているか。

    認められていない制度で代理受領を書いても、効力が通用しない。

  4. 実費は、誰がいつ払い、どの範囲まで事前承認が必要か。

    立替が積み上がると、報酬との区別がつかなくなる。

  5. 入金が見込みより遅れたとき、請求はどう進めるか。

    入金が止まれば、請求も止まる。協議の仕組みが必要。

これらの問いに書面で答えを出してから、契約書の支払条項を整えるのが近道です。

また、交付決定の前に契約や発注をした経費は、対象外とする制度が少なくありません。支援契約自体も、申請の前に結ぶのが通常であるため、制度によっては、その費用が対象外となる可能性があります。この点も、契約書で報酬の支払を補助金の取扱いと切り離しておく必要がある理由の一つです。

請求書・支払期日・遅延損害金:払い時を決めたあとの運用の条項

払い時を決めても、請求の手続と支払期日が曖昧であれば、運用は止まります。請求書をいつ、何を添えて出すのか。支払期日の数え方の起点はどこか。期日を過ぎたときにどうなるのか。この三つを、契約書の中で一続きの条項にして置くと、報酬のやりとりが円滑になります。

請求と支払の条項で決めておくこと

項目決めること曖昧だと起きること
請求書の記載報酬の算定の基礎、率または額、報酬額、実費の内訳、消費税を含むかどうか、振込先。何に対する請求か分からず、支払が止まる。
支払期日の起点請求書の受領日からか、補助金の入金完了日からか。後者なら、入金完了の定義と確認方法。入金の日が分からず、期日が確定しない。
営業日の数え方金融機関の休業日を除く。期日が休業日にあたるときは、翌営業日とするか前営業日とするか。期日の前後で、支払の遅れかどうかを争う。
振込手数料どちらが負担するか。差し引いて払うかどうかで、少額の食い違いが残る。
遅延した場合遅延損害金の率、または法定利率による旨。遅延の損害を、どう計算するかが決まらない。
入金が遅れる場合補助金の入金が見込みの時期から相当の期間遅れるときの協議。請求も支払もできないまま、関係が冷える。

遅延損害金は、率を書かなければ民法419条1項により法定利率で計算され、書けばその約定の率が優先されます。率の決め方と注意点は報酬の決め方のページで整理しているため、ここでは、支払期日を入金完了日から数える設計の場合に、遅延損害金の起算日(期日の翌日からか、別の日からか)まで書いておく、という点だけを指摘します。

成功報酬を一定期間に分けて請求する型や、分割で支払う型もあります。その場合には、分割の回数や額は契約に特有の事情で決まりますが、途中で支払が滞ったときに、残りの分の期限を早めるか(期限の利益の喪失)、途中で契約が終了したときに、残りの分をどう扱うかを、あらかじめ書いておく必要があります。分割の設計は報酬の決め方のページ、成功の事実の確認と報酬明細は成功報酬の発生のページと組み合わせて考えます。

実費の事前承認と償還:立て替えが膨らまないようにする

支援のなかで、証明書類の取得、郵送、交通、外部専門家への依頼など、実費が生じることがあります。民法650条1項は、受任者が委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対してその費用の償還を請求できるとしています。ただし、何が必要かの判断はあとから争いになるため、契約書で次の仕組みを置くのが実際的です。

実費の条項に入れておくこと

  • 実費の範囲を、種類で例示する(証明書類の取得手数料、郵送費、交通費など)。
  • 一定額を超える支出や、外部への依頼を伴う支出は、事前に申請者の承認(書面またはメール)を受ける。
  • 請求のたびに、領収書または支出の記録の写しを付ける。
  • 請求の時期(月ごと、業務の終了時など)と、支払期日を決める。
  • 不採択や中途終了のときも、実費は精算の対象になることを書く。
  • 申請者が直接支払うほうが適切な費用(たとえば、制度側に納める費用)は、支援者が立て替えない、と整理する。

支援者が実費を立て替えるのは、申請者にとって便利ですが、立替の残高が積み上がると、報酬との区別がつきにくくなります。請求書では、報酬と実費を別の項目にして、それぞれの金額と消費税を含むかどうかを明記します。

補助金相当額や資金を預かる覚書をつくるとき

補助金を利用する取引の中には、補助金が入るまでの間、補助金相当額や事業に関する資金を、当事者の一方が預かる、あるいは立て替える形をとるものがあります。支援契約に付随して、そうした預かりを書面にしたい場合には、覚書などで次の点を整理します。契約の中でもっとも混乱しやすいのは、言葉の使い方です。

書き方の例(一般的な例) 預かりの覚書の書き方

預かり金の名称と性質

よくある書き方「保証金」「預り金」「手付金」が、同じ意味のように混在している。
整えた書き方「預り金」として一つの名称に統一し、「補助金が交付されなかったときは全額を返還し、交付されたときは第○条により充当する」と、返還と充当の条件を書く。

理由名称が混在すると、返還すべきお金なのか、対価の一部なのかが分からなくなる。

補助金を受け取る者

よくある書き方補助金が誰に入るのか、書かれていない。
整えた書き方「補助金は申請者が自己の口座で受領する」と受領者を書く。支援者が受領する場合は、その根拠(制度の要綱が認めること)と、引渡しの期限を書く。

理由受領者が曖昧だと、預かり金の返還と補助金の引渡しが混ざり、二重の請求になる。

不交付が分かる時点

よくある書き方「補助金が不交付となったとき」とだけ書かれている。
整えた書き方「不交付の通知書の写しを申請者が提示した日、または所管機関が交付しない旨を通知した日をもって、不交付が判明したものとする」と、時点の特定方法を書く。

理由いつ返還の義務が始まるのかが決まらないと、返還の期限が計算できない。

返還の期限と方法

よくある書き方「速やかに返還する」
整えた書き方「判明した日から○営業日以内に、申請者が指定する口座に振り込む。振込手数料は預かった側の負担とする」

理由期限と方法がなければ、返還が遅れても、遅延を数えることができない。

預かった金銭は、自分の財産と分けて管理することが、トラブルの予防になります。専用の口座を設ける、または帳簿上で区別するなど、管理の方法を覚書に書きます。補助金の返還が命じられた場合の扱いは、返還・取消しのページで扱います。

起きがちなこと

支援費用の支払と補助金の入金で、起きがちなこと

補助金が入る前に報酬の請求が届く

報酬の払い時が書かれていないため、支援者は採択の時点で請求し、申請者は資金が入るまでは払えないと考える。

手当て報酬の払い時を、着手時・採択時・入金後のいずれかに決め、支払期日を日数と営業日で書く。

入金口座を支援者に預けてしまう

手続を一任したい気持ちから、通帳とカードを預けた。後に、誰がいくら引き出したのかが分からなくなる。

手当て口座は申請者が自分で管理する。代理受領を使う場合は、制度の要綱で認められることを確かめ、引渡しの期限を契約書に書く。

入金から報酬が差し引かれて残りが届く

天引きの合意はあったが、報酬が補助対象の経費に入るかが確認されておらず、補助金の使い方として問題が指摘される。

手当て天引きを使う前に、報酬が対象経費に入るかを確認する。入らないなら、申請者が別に払う形にする。

支援費用が補助の対象外だと分かる

対象になると考えて契約したが、公募要領では対象外だった。支払を拒否する申請者と、請求を維持する支援者が争う。

手当て対象経費への算入を保証しない条項と、算入されなくても支払義務は変わらない条項を置く。

預かったお金の返還が止まる

補助金が不交付になったと分かったのに、時点が決まっておらず、返還の期限が動き出さない。

手当て不交付が判明する時点を、通知書の写しの提示や所管機関の通知で定義し、期限を営業日で書く。

申請者本人が責任を負う部分(IDやパスワード、通帳、印鑑の扱いなど)は、申請者本人の責任のページで扱います。

よくあるご質問

補助金は後払いの制度が多いと聞きますが、報酬も入金後に払うのが普通ですか?

必ずしも普通というわけではありません。報酬の払い時は、契約書で自由に決められます。ただし、民法648条2項は、受任者が報酬を請求できるのは原則として委任事務を履行した後だと定めており、成功報酬型の契約では、成功の事実が確認できた後に請求する形が多く見られます。申請者の資金繰りへの配慮から、補助金の入金後に払う設計をとる契約もありますが、その場合は、支援者の回収の遅れを補う仕組み(着手金や分割払い)を併用することを検討します。

補助金の振込先を、支援者の口座にしてもよいですか?

制度によって異なります。振込先を申請者名義の口座に限る制度もあるため、公募要領・交付要綱での確認が必要です。認められる場合でも、支援者は受領した金銭を申請者に引き渡す義務を負い(民法646条1項)、報酬を差し引く場合は、その合意と請求の内訳を書面に残す必要があります。認められない制度で、契約書に書いただけでは、振込先を変えることはできません。

支援に払った費用は、補助金の対象経費に入りますか?

制度ごとに異なり、一律には答えられません。対象とする制度の公募要領・交付要綱で確認する必要があります。契約書では、対象経費に入るかどうかを支援者が保証しないこと、入らなくても報酬の支払義務は変わらないことを、あらかじめ書いておくのが整理の仕方です。

支援者が立て替えた実費は、不採択でも請求できますか?

民法650条1項により、受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用の償還を請求できます。不採択という結果になったことで、すでに支出した実費の償還が当然に消えるわけではありません。ただ、実費の範囲と事前承認の手続を契約に書いていなければ、必要かどうかが争いになります。範囲、承認、請求書の添付書類を書いておくことが大切です。

補助金相当額を預けるとき、何を決めておけばよいですか?

預かり金か保証金かの名称の統一、補助金を受け取る者、返還の条件、不交付が判明する時点の定義、返還の期限と方法、預かった金銭の管理の方法を決めます。名称が混在していたり、不交付の時点が曖昧だったりすると、返還の期限が動き出さず、争いになります。

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