補助金の成功報酬はいつ発生するか

採択、交付決定、額の確定、入金のどこを「成功」とするかで、報酬の発生も、辞退や減額のときの結論も変わります。

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「採択されたら報酬」と書いたつもりが、交付決定も入金もまだの段階で請求になり、関係が壊れることがあります。

このページの要点

  • 成功報酬の発生の原因を、採択・交付決定・額の確定・入金のうち一つに固定し、制度の通知書の名称で指名する。報酬の発生、請求、支払期日は別々に決める。
  • 国の補助金では、交付決定の通知(補助金適正化法8条)と額の確定の通知(15条)が別に存在する。決定額と確定額が違うときの報酬の基礎と、差の精算を書く。
  • 申請者が自ら辞退したときは、正当な理由のある辞退と、ない辞退を分けて書く。民法130条1項の適用に頼らず、割合も事前に定める。
  • 成功の事実は、通知書の写しと入金の証跡で示し、請求の前に報酬明細を交付して異議の期間を置く。

結論:「成功」を一つの出来事に固定し、その名前のまま契約書に書く

補助金の申請支援で成功報酬を定めるとき、もっとも多い行き違いは「成功とは何か」です。支援者は「採択されたのだから成功だ」と考え、申請者は「お金が入るまでは成功ではない」と考える。どちらの感覚にも理由があり、契約書に何も書かなければ、どちらが正しいかは民法の原則から組み立てるしかなくなります。補助金は、公募に応募し、審査を経て選ばれ(採択)、交付を決める通知を受け(交付決定)、事業を行って実績を報告し、交付すべき額が定まり(額の確定)、資金が口座に入る(入金)という長い道のりをたどります。この途中のどこでも「通った」と言えてしまうため、成功報酬の「成功」は、言葉だけでは特定されません。

このページの結論は三つです。第一に、成功報酬の発生の原因となる出来事を、採択・交付決定・額の確定・入金のうちの一つに固定し、契約書でもその名前のまま書くこと。第二に、報酬が「発生する時点」「請求できる時点」「支払期日」を別々の概念として分け、特に支払期日は申請者の入金より後ろに置くかどうかを意識して決めること。第三に、交付決定のあとの減額や、申請者自身による辞退のように、成功が途中で薄れる場面の扱いを先に決めておくことです。報酬の型の選び方(着手金・固定・成功・月額)は報酬の決め方のページで、不採択のときの精算は不採択のときの契約のページで扱います。ここでは、成功報酬という型を選んだあとの「いつ生まれるか」に絞ります。

採択・交付決定・額の確定・入金:4つの時点で何が違うのか

4つの時点は、同じ補助金の一本の流れの上にありますが、起きていることの性質が違います。時間軸にすると次のようになります。なお、国の補助金では補助金適正化法(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律)が、交付の決定、その通知、額の確定といった基本の仕組みを定めています。自治体の補助金や民間団体が運営する助成金は、この法律ではなく、各団体の規則・要綱・公募要領で仕組みが決まるため、そこで確認する必要があります。

補助金の流れと、成功報酬を置きうる4つの位置

  1. 採択審査を経て、事業が選ばれたことが知らされる。制度の用語であり、法令上の定義語ではない。契約で決める「採択」を報酬の発生原因にするなら、何をもって採択とするか(通知の名称、日付)を書く。
  2. 交付決定国の補助金では、交付の決定の内容と条件が申請者に通知される(補助金適正化法8条)。契約で決める決定の通知書に記載された額と条件を、報酬の算定の基礎にするかを決める。
  3. 実績報告・額の確定事業を終えて報告し、審査を受けて、交付すべき額が確定して通知される(同法14条、15条)。契約で決める確定した額を基礎にするか。決定額より減ったときに精算するかを決める。
  4. 入金確定した額が、申請者の口座に実際に支払われる。契約で決める入金を報酬の発生または支払期日の起点にするか。入金の確認方法と営業日の数え方を決める。

制度によっては、採択のあとに改めて交付の申請をして交付決定を受ける二段階の仕組みがあり、採択と交付決定が同時の制度もあります。支払についても、事業の途中で概算で支払う仕組みと、額の確定後にまとめて支払う仕組みがあるため、公募要領・交付要綱で確認が必要です。

それぞれの時点に報酬の発生を置いたとき、支援者と申請者のどちらにとって何が有利で何が危ういのかを整理します。

成功報酬の発生をどの時点に置くか

発生の時点支援者から見ると申請者から見ると注意すること
採択支援の成果がもっとも早く形になる。審査通過の事実が分かりやすい。資金が入る前に報酬の負担が生じる。その後に辞退や不交付があっても報酬が残るおそれがある。採択後に交付決定に至らない場合の戻しや、辞退の扱いを同時に書かないと、不満が残りやすい。
交付決定国の補助金なら通知という外形的な出来事があり、時点が明確。決定額が後で下がることがあるのに、決定額で報酬が固定されると負担感が出る。決定額は見込みの性格が残る。額の確定との差を精算するかを書く。
額の確定実際に交付される額が決まったあとなので、金額の争いが少ない。額が決まれば報酬の根拠が揃うので、納得しやすい。確定までに年単位かかる制度があり、支援者の回収が遅くなる。着手金や分割で補う設計を検討する。
入金資金が実際に入ったときだけ請求するので、申請者の納得を得やすい。資金繰りと報酬の時期が合う。もっとも負担が軽い。入金の遅れや、入金先が申請者の口座であることから、入金の確認方法を決めておかないと請求が止まる。入金の流れそのものは支払と入金のページで扱う。

どの時点が正しい、という答えがあるわけではありません。大切なのは、選んだ時点が申請者と支援者の双方に説明できること、そして選んだ時点より前の時点を、うっかり別の条項で請求の起点にしていないことです。たとえば、報酬の条項では入金を発生の原因としているのに、別の条項で「採択の通知を受けたときは、報酬の一部を支払う」と書かれていれば、実質は採択時点の報酬になります。契約書全体を通して、4つの時点のどれを使っているかを、一度横断的に点検することをおすすめします。

国の補助金と自治体・民間の助成金で、確認する根拠が違う

報酬の発生を「交付決定」「額の確定」に結びつけるとき、その言葉の意味は制度ごとの根拠で決まります。国の補助金では、補助金適正化法の定める手続が基本になります。同法8条は、各省各庁の長が補助金等の交付の決定をしたときは、速やかにその決定の内容と、条件を付した場合はその条件を申請者に通知するものと定めます。また同法15条は、補助事業等の完了または廃止に係る成果の報告を受けた場合に、報告書等の審査や必要に応じた現地調査などにより、成果が交付決定の内容や条件に適合すると認めたときは、交付すべき補助金等の額を確定して補助事業者等に通知しなければならないと定めています。つまり、国の補助金では「交付決定の通知」と「額の確定の通知」という二つの通知が別々に存在する仕組みが法律に置かれているのです。

一方、自治体の補助金や、公益法人などが運営する助成金は、同法の適用の対象ではなく、各団体の補助金交付規則・要綱で独自に定められます。そこでは「採択」「交付決定」「確定」「請求」「支払」といった言葉が、国の制度と似た意味で使われることも、まったく別の意味で使われることもあります。たとえば、通知書の名称が違っても実質が同じ場合もあれば、同じ名称でも一つ前の段階を指す場合もあります。契約書の定義を作るときは、制度の公募要領や交付要綱で実際に使われている通知の名称と、その通知が何を意味するかを確かめ、その通知書そのものを報酬の発生原因として指名する書き方が、誤解が生じにくい方法の一つです。

また、本サイトは個別の制度の要件や手続の説明はしません。上記の仕組みはいずれも一般的な説明であり、契約を結ぶときは、対象とする制度の公募要領・交付要綱で、通知の名称、確定の手続、支払の方法を確認する必要があります。契約書の側から見れば、対象とする制度を特定する条項(別紙で制度名と公募回を指定する書き方)を置くことで、この確認の作業が契約の中に取り込まれます。

定義語を先に固定する:「交付決定額」「入金完了」「営業日」

成功報酬の条項は、定義語が決まっていないと運用で揉めやすくなります。とくに次の三つの語は、先に定義しておくことで、あとから争う余地が大きく減ります。

  • 交付決定額:交付決定の通知書に記載された補助金の額を指すのか、その額から何かを控除した額か。通知書の記載の何を指すのかを、書面の名称と記載項目で特定します。
  • 確定額:額の確定の通知に記載された額を指すのか。決定額と確定額のどちらを報酬の基礎にするかで、減額が起きたときの結論がまったく変わります。
  • 入金完了:どの口座に、いつ着金したときか。申請者の口座に補助金が入った日か、申請者が通帳やネットバンキングの画面で確認できた日か。制度側が支払を完了した日と、申請者が気づく日がずれることもあります。
  • 営業日:金融機関の営業日か、当事者の定める営業日か。支払期日を「入金完了後○営業日以内」と書くなら、営業日の数え方が曖昧では期日が決まりません。

第○条定義と成功報酬の発生

  1. この契約において「交付決定額」とは、対象制度の所管機関が申請者に通知した交付決定の通知書に記載された補助金の額をいい、「確定額」とは、額の確定の通知書に記載された補助金の額をいう。
  2. この契約において「入金完了」とは、確定額(確定額の通知前に概算で支払われる場合は、その支払われた額)が申請者の口座に着金した日をいう。「営業日」とは、金融機関の休業日を除く日をいう。
  3. 乙は、対象制度について確定額の通知があり、かつ入金完了となったときは、確定額に別紙記載の率を乗じた額に、消費税を含むかどうかを明記した上で、成功報酬を請求することができる。

書き方の例(一般的な例)。率、期日、金額の数値は○と置いています。実際には、対象制度の通知書の名称に合わせて文言を整えます。

定義を置いたら、その定義語を報酬の条項、請求の条項、精算の条項で一貫して使います。一か所だけ「交付額」「受給額」といった別の言い方が混ざると、定義の効果が失われます。定義語の見直しは、条項を改めたときにも毎回行う必要があります。また、報酬額の算定の基礎となる額と、報酬額そのものについて、それぞれ消費税を含むかどうかを明記します。ここで説明する以外の税の取扱いは、このサイトの対象外です。

交付決定のあとに減額・辞退・取消しが起きたとき、報酬はどうなるか

成功報酬が現実に揉めるのは、「いったん成功と言えたものが、あとから小さくなる」場面です。国の補助金の仕組みを手がかりにすると、その場面は大きく四つに分けられます。

  1. 実績に応じて額が下がる場面。交付決定の額は、あくまで申請した経費を前提とした額です。事業を終えて実績を報告し、対象経費が申請時より減っていれば、額の確定(補助金適正化法15条)の段階で、交付すべき額が決定額より小さく確定されることがあります。
  2. 交付決定の内容に不服があって申請を取り下げる場面。同法9条は、交付決定の通知を受けた申請者が、その内容または付された条件に不服があるときは、所管の長の定める期日までに申請を取り下げることができ、取り下げれば決定はなかったものとみなすと定めます。この取下げは、決定の内容や条件に不服がある場合を想定した仕組みです。
  3. 事業を中止・廃止する場面。同法7条1項4号は、補助事業等を中止し、または廃止する場合には所管の長の承認を受けるべきことを、交付決定に付す条件の一つとして挙げています。交付決定のあとに事業をやめるときは、こうした承認の手続を経ることが想定されます。
  4. 決定の取消し・変更が行われる場面。同法10条は、交付決定後の事情の変更により特別の必要が生じたときに、決定の全部もしくは一部の取消しまたは内容の変更ができるとし、同法17条は、他の用途への使用その他の違反があったときに決定の全部または一部を取り消せるとしています。これらによる取消しや返還の扱いは、返還・取消しのページで扱います。

この四つの場面に対応するには、報酬の基礎を何にするかを先に決めます。おおよそ三つの設計があります。

減額が起きたときの報酬の基礎の置き方

設計内容向く場面気をつけること
確定額を基礎にする額の確定の通知に記載された額を基礎にして、報酬を算定する。減額は自動的に報酬に反映される。申請者の納得を重視する場合。減額の事情を支援者が左右できない場合。額の確定まで報酬が決まらず、回収が遅い。確定の見込み時期を契約に書くか、一部を先に受ける設計を併用する。
決定額を基礎にし、差を精算するいったん決定額で算定し、確定額との差が出たときは、差額分の報酬を戻す、または追加で請求する。報酬を早めに受けたい場合。決定から確定まで時間がかかる制度の場合。戻しの期限、方法、戻す金額の計算式を書く。戻しを書かないと、多く受け取ったままの状態が残る。
決定額で固定し、精算しない決定額で算定した報酬を、その後に減額があっても変えない。期間が短く、減額が起きにくい制度の場合に限られる。申請者に不利な内容に見える。事業者間でも、一方的に不利な内容は、公序良俗(民法90条)の観点から見直しが求められうる。

支援の途中で契約が終わった場合は、民法648条3項が参考になります。受任者は、委任者の責めに帰することができない事由で委任事務を履行できなくなったときや、委任が履行の中途で終了したときは、すでにした履行の割合に応じて報酬を請求できます。また、成果に対して報酬を支払う約束をした場合には、民法648条の2が適用され、その2項は請負の規定(634条)を準用しています。成功報酬を「成功したときにのみ生じる」と合意するのであれば、中途で終了したときに履行の割合に応じた報酬を認めるのかを、当事者の意思として書面に書いておくのが無難です。書いていなければ、これらの規定の解釈に委ねられ、双方に予測がつきません。

申請者が自ら辞退し、成功の実現を妨げたとき

支援者から見て、もっとも悔しい場面の一つが、採択や交付決定という成功が見えた段階で、申請者が事業を取りやめてしまうことです。申請者にも、資金計画の変更や、他の事業の優先など、理由はいろいろあります。契約書はこの場面を、「やむを得ない辞退」と「成功報酬を免れるための辞退」に分けて書くと、公平な形に整います。

法律の側から見ると、成功報酬は「成功したとき」という条件のついた約束(停止条件、民法127条1項)に当たります。ここで民法130条1項は、条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は条件が成就したものとみなすことができる、と定めています。申請者が報酬を支払いたくないために、わざと辞退したと評価できれば、支援者は成功したものとみなして報酬を請求する理由になります。しかし、この規定が使えるのは、故意を示す事情が明らかな場合に限られ、立証は容易ではありません。契約書に具体的に書いておくほうが、有力な備えになります。

書き方の例(一般的な例) 申請者の辞退と報酬

辞退の扱い

よくある書き方「申請者が辞退したときは、報酬は発生しない。」
整えた書き方「申請者が正当な理由なく採択後に申請を取り下げ、または補助事業を中止したときは、乙は、辞退の時点の交付決定額(その額が決まっていないときは通知された採択の内容)を基礎として、別紙に定める率による報酬のうち○割に相当する額を請求することができる。ただし、交付決定の内容または条件に不服があって補助金適正化法9条(または対象制度の定める同様の手続)により取り下げる場合、法令上の要件を満たさないことが判明した場合、天災その他の申請者の責めに帰することができない事由による場合は、この限りでない。」

理由辞退を一律に免責すると、成功報酬を免れる辞退を許す。一律に全額とすると、やむを得ない辞退まで報酬が生じる。正当な理由を類型で挙げ、割合も事前に示すことで、過大な賠償額の予定(民法420条、90条)に当たりにくくなる。

支援者の責めによる不成功

よくある書き方(定めなし)
整えた書き方「乙の誤った説明または業務の懈怠により採択や交付決定を得られなかった、または額が減少したときは、乙は、減少した部分に対応する報酬を請求できない。」

理由支援者の側に原因がある減額まで、申請者が報酬を負担するのは公平を欠く。責任の所在を条文で分けておく。

なお、ここでいう「正当な理由」の類型は、あらかじめ全部を列挙することができません。そのため、例示列挙にとどめて「その他やむを得ない事由」という受け皿を置き、判断に迷う場合は、書面で協議する仕組みと組み合わせることが実際的です。

確認の方法と報酬明細・異議の期間:成功を「見える形」にする

成功報酬は、申請者の側の出来事(通知の受領、入金)を条件に支援者が請求する仕組みです。つまり、成功の事実を知っているのは、まず申請者です。支援者が自分で通知や入金を確かめる方法がないまま、契約が「申請者が成功を知ったとき」としか書いていなければ、支援者は申請者の報告に頼るしかありません。反対に、申請者から見ても、請求書だけが送られてきて、根拠が分からないという状況は避けたいところです。そこで、確認の方法を契約書の中に組み込みます。

  • 通知書の写しの提出:交付決定や額の確定の通知を受けたら、申請者は○日以内に、その写しを支援者に提出する。提出を義務にするのは、支援者が請求の根拠を得るためであり、同時に申請者にも、何について請求されるかを確認する機会を与えます。
  • 入金の証跡:入金を確認できる通帳の写しや取引明細の画面など、確認の方法を特定する。口座の番号など必要のない情報は伏せてよいことも書いておくと、申請者の心理的な負担が小さくなります。
  • 報酬明細の発行:支援者は、請求の前に、算定の基礎となった額、率、報酬額、消費税を含むかどうかを記載した明細を交付する。
  • 異議の期間:申請者は、明細を受領してから○日以内に、書面またはメールで異議を述べることができる。異議なく期間が過ぎたときの扱い(承認したものとみなす)を書く場合は、申請者に十分な確認の機会があったことを前提にします。

報酬明細と異議の仕組みは、請求の「前」に置くことが肝心です。請求書を出したあとに初めて内容を争うよりも、明細の段階で食い違いを見つけるほうが、摩擦が少なく済みます。異議があったときは、双方で協議する期間を設け、それでも合意に至らないときの扱いを別に定めます。

確認の問い契約を結ぶ前に、申請者と支援者が確かめておく問い

  1. 成功報酬の発生の原因は、採択・交付決定・額の確定・入金のどれか。対象制度の通知書の名称で指名できるか。

    同じ言葉でも、制度によって指す通知が違う。通知書の名称を指名しておけば、時点の争いを避けられる。

  2. 決定額と確定額が違ったとき、どちらを基礎にして、差をどう戻すか。

    減額は交付決定のあとにも起きる。戻しの書き方がないと、報酬の過不足が放置される。

  3. 申請者が辞退したとき、どの場合に報酬が生じ、どの場合に生じないか。

    正当な理由の類型と、報酬の割合を先に決めておけば、辞退のたびに争うことがなくなる。

  4. 支援者の責任による減額や不成功のとき、報酬はどうなるか。

    原因が支援者にあるのに、報酬が全額残ると、申請者の納得が得られない。

  5. 成功の事実を、どの書面で、いつまでに、誰が示すか。

    成功を知る申請者が示さない限り、支援者は請求できない。示す期限と方法が必要。

  6. 報酬の支払期日は、入金の前か、後か。営業日の数え方はどうか。

    資金繰りの負担に直結する。入金後の支払にするだけで、申請者の安心感が大きく変わる。

問いは、書面にして、双方がメールなどで回答を残しておくと、のちの食い違いを防ぎます。

起きがちなこと

成功報酬の発生をめぐって、起きがちなこと

採択の通知だけで請求書が届く

契約書には「成功したとき」としか書かれておらず、支援者は採択を成功とみなして請求する。申請者は、交付決定も入金もまだだと感じ、支払を拒む。

手当て成功の原因を、採択・交付決定・額の確定・入金のどれか一つに固定し、通知書の名称で指名する。支払期日は入金後とする。

決定額から確定額に減ったのに、報酬は決定額のまま

事業を終えて対象経費が減り、額が決定額より小さく確定した。報酬は決定額で算定されたまま請求され、申請者が差額の戻しを求めて揉める。

手当て報酬の基礎を確定額とするか、決定額で算定して差を精算する。精算の期限と計算式を書く。

採択後に申請者が事業を取りやめる

資金計画の見直しで、申請者が辞退する。支援者は成功報酬を請求できるはずだと考え、申請者は成功していないから払わないと考える。

手当て正当な理由のある辞退とない辞退を分け、後者について報酬の割合を定める。民法130条の適用を当てにしない。

入金の時期が、誰にも分からない

制度側の支払の時期が遅れ、入金がいつか分からないまま、支援者が請求できず、申請者も連絡を忘れている。

手当て通知書の写しの提出期限と、入金の通知義務を申請者に課す。入金が一定の期間遅れる場合の協議の定めを置く。

報酬明細への異議が、請求書のあとに出る

請求書で初めて内容を見た申請者が、算定の根拠が分からないと述べ、関係が悪化する。

手当て請求の前に報酬明細を交付し、異議の期間を設ける。異議の方式は書面またはメールとする。

よくあるご質問

採択された段階で、成功報酬を請求してよいですか?

契約書に「採択のとき」と書かれていれば請求できますが、そう書くかどうかは設計の問題です。採択のあとに、交付決定に至らない、辞退する、額が下がる、といった展開がありうるため、採択を成功の原因にするときは、その後の戻しや辞退の扱いも同時に書いておく必要があります。民法648条1項により、報酬は特約がなければ請求できないため、何をもって成功とするかは、契約書の条項で決まります。

交付決定額と、最終的に受け取る額が違うときは、どちらで報酬を計算しますか?

契約書にどちらと書いたかで決まります。国の補助金では、補助金適正化法15条により、実績報告のあとに交付すべき額が確定されます。その額が決定額より小さい場合に備えて、確定額を基礎にするか、決定額で算定して差を精算するかを書いておきます。書いていないと、報酬の過不足を誰が調整するのかが決まらず、争いのもとになります。

交付決定のあとに事業が中止になったとき、成功報酬は戻しますか?

契約書に書いた発生原因と、戻しの定めによります。国の補助金では、事業を中止・廃止するときは承認を受けることが交付決定の条件に付されるのが通常で(補助金適正化法7条1項4号)、中止の事情が申請者の都合か、制度側の事情の変更(同法10条)かで、評価も変わります。報酬の発生原因を入金や額の確定に置いていれば、そもそも報酬が生じない設計になりますが、採択や交付決定に置いている場合は、中止のときの戻しの有無と範囲を、辞退の条項とあわせて書いておく必要があります。

申請者が採択後に辞退した場合、成功報酬は支払ってもらえますか?

契約書に定めがあるかどうかで結論が変わります。民法130条1項は、条件の成就で不利益を受ける当事者が故意に成就を妨げたときは、相手方が成就したものとみなせると定めますが、故意の立証は容易ではありません。備えるには、正当な理由のない辞退について、報酬の割合を定める条項を置きます。一方で、決定の内容に不服があって取り下げる場合などは、除外する書き方が公平です。

報酬明細に異議を述べなかったら、内容を認めたことになりますか?

契約書に「期間内に異議がなければ承認したものとみなす」と書いてあれば、その合意の効力が問題になります。申請者に十分な確認の機会が与えられていたかが重要で、算定の根拠が明細に書かれ、異議の期間が相当であることが前提になります。明細を請求書の前に交付し、異議の方式を書面またはメールとして、双方が記録を残せるようにしておくのが実際的です。

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